私たち合同会社シーベジタブルは、磯焼けにより減少しつつある海藻を採取して研究し、環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって蘇らせ、海藻の新しい食べ方の提案を行っています。

日本の海域には約1500種類を超える海藻が生息し、そのすべてが毒を持たず、食用になり得るとされています。しかし、世界で最も海藻食文化が進んでいると言われている日本でさえも、現在食卓に並ぶのは数十種類だけ。1400種類以上もの海藻が未知なる食材として眠ったまま存在しているのです。

地上の植物は探求し尽くされ、様々な栽培技術や調理方法が確立していますが、海藻の世界はその途上、と言うよりはじまってすらいないものばかり。過去から受け継がれる海藻食文化を守っていくと同時に、新たな海藻食文化をつくっていきたい。その先には海にも人にも良い未来が広がっていると信じて、私達は日々活動しています。

各分野のスペシャリストが集結

40年以上も日本中の海に潜り海藻採取・分類を行っている専門家、藻類の種苗生産に長年取り組んできた研究者、水質や栄養分析の専門家など、多様なスペシャリストが集い、社外の研究者などとも連携して、分野を横断して海藻の基礎研究から栽培技術の確立まで取り組んでいます。

年々資源量が減少し、なかには絶滅の危機に瀕したり食文化が途絶えつつあるような海藻の種を確保し、ふたたび蘇らせて生産することで、守りつないでいくことができる。そんな想いを持った仲間たちが集っています。

世界初 地下海水をつかった青のり陸上栽培

シーベジタブルが創業当時から主に生産しているのは、スジアオノリという青のりの中で最も香り高く、最高級品種と言われる海藻です。

かつての主産地であった高知県四万十川では、河口部の水温上昇に伴って収穫量が激減し、2020年には出荷量が0kgに…。年々減少していく過程で供給量が足りない状況が続いていました。そこで世界初となる、清浄でミネラル豊富な地下海水を用いた陸上での栽培をシーベジタブルが開始。

独自に開発した設備(特許取得済)や生産ノウハウによって、現在は高品質なスジアオノリを通年で安定的に供給しています。吉野川で生産されているスジアオノリと香り成分を比較したところ、青のりの主要な香り成分とされているジメチルスルフィドの量が約2.5〜4.5倍あることがわかりました。

海の生態系を豊かに育む海面栽培

海藻が形成する藻場は“海のゆりかご”と言われるように、魚や貝などの生き物たちの命を育む機能があり、海の生態系のバランスを保っています。しかし海水温が年々上昇していることで、海藻を食べるアイゴなどの魚やウニの活性が高い時期が長期化し、その結果、全国各地で食害が大きく発生し、藻場が激減しています。

こうした状況の中で私達ができることはなにか?と考えた結果、「海面で海藻を栽培することではないか」という仮説に辿り着きました。

海水温が下がって食害を受けない時期や海域を特定し、そこに適した海藻を栽培すれば、一時期だけでも海に海藻がある状態をつくることができます。どうしても食害を受けてしまう状況では、カゴなどを使って栽培することが可能です。これにより今まで活用されていなかった海域に海藻がある状態を長い期間つくっていくことができ、海の生態系を豊かに育むことができると考えています。

海藻の新しい魅力・食べ方を発信

2021年秋に海藻の料理開発の拠点であるテストキッチンを設け、シェフの石坂をはじめとした3名の料理人が、さまざまな海藻の食材としての可能性を見出す活動を日々行っています。これまで向き合ってきた海藻は100種類以上で、料理業界でもほとんど知られてこなかった海藻の活用方法を発信しています。

海藻で作るデザートやドリンク、発酵調味料など、海藻の未知なる魅了を引き出し、驚きと感動を与える食べ方の提案は、日本だけでなく、国外の方々からも高評価を得ています。

石坂秀威シェフが開発担当する新ブランド「Re-seaweed」では、“海藻を主原料とした 世界で未だ誰も味わったことのない食体験”をお届けしています。

海藻って美味しくておもしろい

テストキッチンで日々生み出されている新しい調味料や加工品、多種多様な海藻の食べ方を紹介するための「海藻料理交流会」などのイベント、全国各地で海藻をつかってくださっているお店やメーカーさんの商品など... 様々な入り口から、海藻って美味しいんだ、おもしろいんだと知ってくださる方が増えてきました。

その広がり方はまるで多様性を象徴する海藻のように、私たちの周りで豊かな生態系が育まれています。美味しい食べ方を自ら発信してくれる方や、得意分野を活かして仲間になってくれる方がいるのです。

「食べて美味しい」「知っておもしろい」。そういったシンプルな行動が大きなうねりとなり、海の豊かさにつながっていく循環が描けてきました。みなさんもぜひ美味しい海藻を食べながら、この生態系に加わっていただけたらうれしいです。

蜂谷 潤 |Jun Hachiya(共同代表|写真右)

岡山県出身。大学時代に、“海洋深層水を活用したアワビ類及び海藻類の複合養殖”のビジネスプランを構想し、これを事業化するべく研究活動を行う。その後、海藻の生産に特化する形で共同代表の友廣と共に合同会社シーベジタブルを創業。日本各地の減少しつつある海藻を再生させることで海を豊かにすべく、海藻の種苗培養から、陸上・海面での栽培方法の確立まで、主に研究/生産メンバーとともに新たな挑戦を繰り返している。

友廣 裕一 |Yuichi Tomohiro(共同代表|写真左)

大阪出身。大学卒業後、日本の地域の現状を学ぶため、全国の農山漁村を訪ねる旅へ。東日本大震災後は、宮城県石巻市・牡鹿半島の漁家の女性たちとともに弁当屋やアクセサリーブランドなどの事業や、東京・墨田区で食べる人とつくる人がつながるマーケットを立ち上げる。その後、共同代表の蜂谷と共にシーベジタブルを創業。人や組織をつなぎながら、新たな海藻食文化をつくるべく駆け回る。

山本 龍太朗 |Ryutarou Yamamoto(顧問)

弁護士。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、名古屋大学法科大学院修了。ベンチャーやソーシャルベンチャーの支援を積極的に行い、2016年からは慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師(ベンチャー関連法)等も務める。

合同会社シーベジタブル

高知県安芸市穴内乙 688-9(本社)
東京都練馬区旭丘 2-36-18-301(東京拠点)
0887-37-9835(TEL)
0887-37-9836(FAX)

【各種拠点】
生産拠点(陸上):高知、三重、愛媛、熊本、岩手、他
生産拠点(海面):静岡、熊本、山口、他
ラボ(研究・種苗生産等):高知、東京、徳島、熊本、沖縄、他
テストキッチン:東京

*自社で開発した生産設備に関する特許取得済み